映画製作ストーリー

 

 

映画製作ストーリー

 

 ーあなたは「 きょうだい 」という言葉をご存知でしょうか?ー

こんにちは。プロデューサーの三間瞳です。

 

あまり知られてはいませんが、なんらかの障がいを持つ人-身体障害、知的障害、精神障害-の兄弟姉妹を指して、
「 きょうだい 」と言います。私自身、5歳下の実妹が統合失調症の「 きょうだい 」です。

 
障がいの話題の中で、その兄弟姉妹「きょうだい」について取り上げられることは、ほとんどありません。

しかし、多くの「きょうだい」である人は

・幼少期から、親や周囲の目が「障がい」をもった兄弟姉妹に注がれて、十分に愛情を受けられない。
 反対に、障がい児の分まで社会で活躍せよ!と過剰に期待されてしまう場合もある。
・学校でも職場でも、自分が「きょうだい」であることを言えない。
・自分のライフイベントである結婚などでは、「きょうだい」であることが避けられない課題になる。

そして、

・親亡き後の「障がい」をもった兄弟姉妹の人生を背負っている。(背負わされている。)

など、人生のあらゆる選択に、影を落とす現実を抱えています。

その知られざる現実に光をあてる「映画」を通じて、障がい者当人やその家族と、それ以外の人々との間にある分断(溝)を溶かして共に歩んでいく、その一歩を踏み出したいと映画をはじめとする一連のプロジェクトを立ち上げました。

 

 ー始まりは、15歳の時でした。ー

私の「きょうだい」としての人生は、突然始まりました。
5歳離れた妹が、10歳の時。私が15歳のとき。
天真爛漫で、笑顔が絶えない子だった彼女が、ある日、魂が抜けたように「無表情」となりました。

―――― 統合失調症の発症でした。――――

「無表情」の後は大暴れ。幻聴・幻覚が聞こえる病により、「死ね」と聞こえてくると言って、物を投げつけたり、高いところから飛び降りようとしたり、脱走しては警察に保護されたり・・・
彼女が32歳となった今もなお、(程度は収まったとはいえ)、このような状況を繰り返しているのが、私たち家族の日常です。

「気の毒に・・・」
「とは言え関わりたくはない」
「見えないところでやってほしい」

思いやりのない世間の”言葉にならない声”を浴びるうちに、いつしか、私自身も、

「私の妹は可哀想」
「私もまた可哀想」

と、思うようになっていました。
そんな中、22歳の時、留学先のニューヨークで、私自身がパニック障害を発症。
地下鉄にも乗れず、突然涙が溢れて仕方なく、異国の地で絶望的な孤独に突き落とされました。
多くの「きょうだい」がそうであるように、私自身も自分の想いを内に秘め、

「どうせ誰もわかってくれない」
「私だけが我慢すればいいんでしょ」
「世間や社会なんて、何もしてくれやしない」

と拗ねた心を、知らず知らずのうちに抱えて生きてきたことに、このパニック障害の治療中に、初めて気づかされました。そして、たくさんの時間とお金をかけてカウンセリングを受け、また、良き仲間に出会うことで私が抱えていた心の傷、そしてそこから来る社会への歪んだ見方、自分自身の被害者意識と向き合い、なんとか乗り越えることができました。

NY留学

 ー心を開けない障がい者とその家族たち

障がいを取り巻く現状を見渡すと、課題だらけです。
実際に、やまゆり園で起きた障がい者大量殺傷事件、元農林水産省事務次官による障がいのある息子殺しなど残忍な事件が起きていきます。
そもそも障がい者本人—特に知的・精神障がいの当事者—は、社会に声を上げられない。
だからこそ、障がい者の家族などの周囲が声を上げていくしかないのですが、その家族は家族で、

「恥ずかしい」
「自分も差別されるのでは・・」
「どう伝えたらいいかわからない」

こんな想いから、口を閉ざしがちです。障がい者の家族(健常者)も困っているのですが、そういった家族を対象にしたサポートはとても少ないのが現状です。

そして、多くの「きょうだい」は、自分のことを他人に話さないために、当事者ではない人たちが気づき、心を寄せて「共にどうやって歩んでいくか」を考えるチャンスが失われています。
このチャンスがないために、障がいをもった人とその家族といった当事者と、それ以外の人たちとの間に見えない分断(溝)が生まれ、当事者以外の人たちを巻き込み、共に解決する動きにつながっていないのです

いまこそ、この分断(溝)を超えて、人々が声をあげて共に歩むことが必要なのだと確信しています。

のぞみと希栄

 ー映画を通じて、まずは知って感じてもらうところから

「障がい者を取り巻く状況を変えていきたい」

この想いは15年以上持ち続けてきましたが、どこから始めたらいいか、全くわかりませんでした。
何せ、こんなちょっと重たい話、なかなか世間が耳を貸してくれそうにありません。
どうしたらいいだろか・・・。そんな中、映画オタクな私が思いついたのは、「映画化」でした。

まずは、この障がい者家族を取り巻く現状を知ってもらい、そこから課題解決を話し合っていく流れを作っていく。
特に、全国にいる、いや、全世界にいる、「きょうだい」へ、「傷ついてばかりもいられない、共に立ち上がろう」
「共に社会を変えていこう」というメッセージを送りたい。

「そうか、映画だ・・・・!」

映画化しよう、そう思い立ったものの、次のステップは何なのか分からない日々が続く中で、転機が訪れます。
この想いに賛同してくれた映画監督の友人が、”「きょうだい」をテーマにした映画を撮らせて欲しい”、と申し出てくれたのです。
また、このプロジェクトを応援するよ、と支援してくれる仲間が、少しずつ現れ、あれよあれよという間に映画制作の準備が整ってきました。私の中で、このプロジェクトが動き始めました。

もうこの流れを止めることなんて、絶対にない。
そんな確信があったので、2020年11月初旬に撮影をスタートさせました。

映画制作には莫大な資金が必要です。また、映画制作だけでなく、社会に広く届けていくためには広報活動にも力を入れる必要があります。このプロジェクトにご賛同いただける方を一人でも多く集め、皆さまの想いも載せて、このプロジェクトを動かしていきたい。

そんな思いから、2020年11月下旬からクラウドファンディングをスタートさせました。 

 

 ーこのプロジェクトで叶えたいことー

私の願いは一つ。誰もがすべからく「自分の人生を生きていくこと」

障がい者も。障がい者の家族も。障がい(者)とは無縁で暮らしているあなたも。

私自身も通った、「自分の人生」に向き合い、歩むことへの葛藤。
映画の中では、主人公であるのぞみ(統合失調症の妹がいる「きょうだい」)が、恋人である崇との結婚を通して、自分の「きょうだい」としての人生を見つめ直し、そして、自分らしい人生への一歩を歩みだす姿を描いています。

今回の作品は「きょうだい」の視点から描いた映画ですが、私は、「きょうだい」以外の方にも響くメッセージがあると思っています。

あなたがどんな環境や状況に置かれたとしても、あなたにはあなたの人生があって、それを生きるのは、あなた自身の「選択」に他ならないのだ、ということを、映画を通して伝えたい。

そんな想いを込めた映画を、友人の佐藤陽子監督と撮りました。

撮影風景


妹のいる人生は、私にとってチャレンジの連続でした。自分の人生が、他の人の人生より、困難に思えました。

暗いトンネルの中に、たった一人取り残されたように感じていた時もありましたが、そんな辛い時を経て、私が思うのは、妹のような人たちは、「共に生きること」について考えさせてくれたり、私に映画をつくるチャンスをくれたり、と私たちにインスピレーションを与えてくれている存在なのではないかということです。

でもそれは、障がい者だから、ということではなく、障がいあるなしにかかわらず、本来なら、誰もが自分にとってインスピレーションを与えてくれる存在と捉えることができるはずではないか、とも思うのです。

だからこそ、障がい者も健常者も、互いが互いに「私たちにインスピレーションを与えてくれる人」という意味の「Inspirers(インスパイアラーズ)」と呼び合えるような概念を社会にもたらし、この根幹の考え方から光を届けたいと考えています。

クランクアップ

 

 ー映画公開のその先にー

このプロジェクトは、映画制作や映画公開がゴールではありません。
この映画を、会社やコミュニティの溝(分断)を超えて真の共生社会づくりを考えるキッカケにしたい、というご要望をいただいており、既に準備が始まっています。「Inspirers(インスパイアラーズ)」 というコンセプトを広める計画も進めています。

映画は私たちの最初の一歩です。
ぜひ、ここからのチャレンジを目撃し、一緒に歩むために、皆様にチカラを寄せていただきたい、と思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。

舞台挨拶付・初回上映会

 

 ーどんな人も輝ける社会に

障害があろうとなかろうと、この世界には自分の本意ではない人生を送っている方が多くいます。

「自分が我慢すればいい」
「こうなったのは運がわるいせい」
「仕方ない・・・」

と思うのは、もうやめにしませんか。

誰もが社会全体に気を配らせ、互いに理解しようとし、何か出来ることはないかと知恵を絞り出す。
一人ひとりが自分の人生を生きているからこそ、他者と共に生きることができる。
そして、社会をより良い場所にするためにエネルギーを発揮できる。

そんな循環を創っていきたいのです。

今回のプロジェクトは、私が「きょうだい」という当事者だからこそ、「障がい者と健常者が共に生きる社会」と打ち出していますが、障がい者が輝ける社会は、健常者にとっても生きやすい社会のはずです。

障がいがあってもなくても、その家族だろうとなかろうと、全ての人が輝ける社会創りのために、どうか、皆様のお力を貸してください。

三間瞳

きょうだい映画「ふたり〜あなたという光〜」製作委員会
チーム一同代表/製作総指揮
三間 瞳

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